キャンドルスティック

2025.07.05

report

【レポート】『キャンドルスティック』初日舞台挨拶

7月4日(金)に実施した初日舞台挨拶の様子をお届け!

■登壇:阿部寛、菜々緒、サヘル・ローズ、津田健次郎、YOUNG DAIS、米倉強太監督

会場は大勢の観客で超満員!客席を見渡した阿部は「この作品の撮影は去年のちょうど今ぐらいの、暑い時に撮っていました。1年を経て、いよいよ皆さんの前にお目見えすることができました」とあいさつ。会場を一気に華やかな雰囲気に包み込んだ。

阿部と菜々緒は本作が初共演。お互いの印象について質問されると、まずは阿部が「菜々緒さんとはTBSのスタジオですれ違ったことがありましたが、廊下を歩いている姿を見てすごいオーラだなと思って。いずれ共演してみたいなと思っていたんです。そして今回共演してみて、菜々緒さんと一緒にいると、まわりの空気がきれいになるような。キレのいい喋りと、何も格好つけてないというか、すごく気持ちのいい性格の人だなと思いました」とコメント。

一方の菜々緒は「現場では今までどの作品が大変でしたかとか、わりと他愛もない話をさせていただいたかな」と語ると、阿部は「あまり覚えてないな」と苦笑い。それを受けた菜々緒は「取材の時も、お互いに(演技についてなど)話し合われたことがありますかと聞かれたりもするんですけど、阿部さんは『忘れちゃった』ってあっけらかんとしてて。テレビに出られている阿部さんそのまんまという印象です」と述懐。

阿部が初代モデルを務めていた雑誌「MEN’S NON-NO」で、自身もモデルをしていた経験がある米倉監督は、阿部に対して全幅の信頼を寄せている様子。「台湾のシーンで、リンネ役のアリッサ・チアさんがひとことだけ日本語を喋るシーンがあったんですが、中国の方が日本語を話すのはなかなか難しくて。その時に阿部さんが『このセリフだけ中国語で言ったらいいんじゃないか』とアドバイスをくださって。アリッサさんにそれを伝えたら、一気に演技に感情が入ったというか。さすがだなと感動しました」と振り返る。

一方、かつてFXセミナーの著名な講師だった吉良役を務めたYOUNG DAISは、「FX講師という役なので、めちゃくちゃ専門用語が多くて。セミナーを現実世界で行っている人は自分の著書を売って読んでもらったりと、ビジネスの側面があるので、人を心理的に誘導していくようなセリフの言い回しをすごく意識して、人生で1番というくらいに緊張しました」と明かして会場を笑わせつつも、「そう(緊張しているように)は見えなかった」というサヘルの言葉に「俺、がんばったなと思います」と笑ってみせた。

そしてサヘルは、オンライン上で海外の役者陣と芝居をするという経験に感銘を受けたという。「いわゆるオンライン上で相手とコミュニケーションを取るシーンですが、あれって実は、相手が見えてない状態で撮影をしていて。それぞれがどういったリアクションで、どういった感情でセリフを言ってるか、本当にわからないままだったので難しかった。でも完成した映画を見たら、しっかり自然に、みんながつながっているように監督が編集をしてくださって。今の時代ってすごいなと思いました。イランの撮影も、米倉監督とイランのスタッフさんたちがオンライン上でディスカッションしながらやったわけですが、今のイランの映像を撮っていること自体が奇跡。その奇跡を切り取れたのも、この現代の技術があるからこそ。そこがこの映画の素晴らしさだと思います」としみじみ語った。

さらに津田は、冒頭で阿部に水をかけるシーンについて明かす。「あれは初日の撮影で。初日で、しかもはじめてお会いするのに阿部さんに水をかけるのかと。まだお互いどういう人か分からない中で……僕は本当に、芝居をはじめた頃に阿部さんの舞台を拝見したりして、『ああ、阿部さんだな』と思っていたんですけど、(その阿部さんに)水をかけるのか……」と振り返る津田の言葉にドッと沸いた会場内。「水をかけるって難しいですよね」と慮った阿部の言葉に、津田も「そうなんですよね。リハもできないし、失敗したら、メイクもやり直し、衣装も乾かしてとなるから30分はかかるなとか、色々考えながら。さすがに緊張しましたね」と述懐。

阿部が本作のオファーを受けた理由のひとつとして、「チャレンジングな企画」だったということがあったというが、そのことを踏まえ、「チャレンジしたいことは?」という質問も。まずは菜々緒が「バックパッカーと、自給自足生活はやってみたい」と回答。「世界中どこでも行ってみたいですし、畑を耕したりもやってみたい。わたし、釣りはできるので、釣った自分の魚を自分でさばいて食べるとか、全部自分でやるというのは夢ですね」と回答。

続く津田は「宇宙に行ってみたいですね」と返答。「行けたら嬉しいですけど、ただ三半規管それほど強くないので。そこも含めて、ロケットじゃない移動の技術が開発されるようになったら行きたいです」と語った。さらにサヘルが「無謀かもしれないですが、この映画のヒット祈願と題して、ここの全員で滝行をしたいです」と提案。それには「ええ!」と戸惑う登壇者たちだったが、そんな中、菜々緒が「わたし1回だけ、滝行をしたことあります!」と明かして会場は大笑い。米倉監督も滝行経験があるというが、ただし乗り気でない登壇者もチラホラいたため、「今回はやめときますか」と笑うサヘルだった。

またYOUNG DAISは「俺は出身が北海道なんですけども、北海道の函館から青森あたりまで。津軽海峡を泳いで渡りきりたいかな。」と壮大な夢をぶちまけ、最後は阿部の回答を、というところで、「楽屋でいろいろと考えていたんですが……忘れてしまいました。また次回にします」と語り、会場を沸かせた。

そしてこの日はもう一問。菜々緒演じる杏子が、映画の中で共感覚を持つ、ということにちなみ、「阿部、菜々緒のふたりが手に入れてみたい特殊能力は?」という質問も。それにはまず阿部が「深海に潜れる身体。深海ってどういう世界かってわからないじゃないですか。宇宙はさすがに厳しいんで」と語ると、先ほど「宇宙に行きたい」と語っていた津田が「深海も宇宙も変わらないですよ」と笑いながらツッコむ姿も。対する菜々緒は「人間以外の言語が喋れない生命体とコミュニケーションが取れるようになりたい」と返答。その理由として「何かあった時に助けてくれそうじゃないですか。こんなアイデアがあるよとか。不思議の国のアリスみたいな感じですね」と明かした。

大盛り上がりのイベントもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた阿部は「僕はこの映画、出させていただいたのは、昔、僕が出ていた雑誌に、監督も出ていたということもあって。新進気鋭の監督だから、何か僕に新しいものをくれるんじゃないかと思って。台本読む前から返事したんですけども、今回現場に行ってみて、確かにいろんな悩みや苦労はありましたが、監督は映画に対してすごく誠実に考えている。しかもカメラマンも役者出身だったから、役者の演技の先を見て撮ってくださったので、こういう方たちと仕事ができてすごく楽しかった。そして今回は合作なんですが、今まで観たことがないような合作ができて新鮮な気持ちになりました。こういう合作がどんどん増えてってくれたらいいなと思いますし、そのきっかけになる作品だと思います。ぜひ皆さん、気に入ったらよろしくお願いします」とあいさつ。

最後に米倉監督も「この映画は90分と、最近の映画の中では短い方の作品になると思うんですけど、スピード感を大事にして、観てくださる方々がいろんなものに感情移入できるような、想像できる余地をたくさん散りばめて作った映画です。これから見てくださる方も、そういうところを楽しんで観ていただければ」とメッセージを送った。

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